消費者金融などからお金を借りたものの、何らかの理由で「返せなくなった」というケースは少なくない。例えば漫画『ナニワ金融道』や『ミナミの帝王』といった作品では頻繁に描かれているシーンだ。
【紹介写真:ブロガーのちきりんさん】
そしてお金を借りた人には「かわいそう」、お金を貸した業者には「悪」といったレッテルが貼られ
がち。しかしこうした考え方に対し、公認会計士の磯崎哲也さんは異を唱えた。
●お金に関する教育が不十分
ちきりん:日本の金融行政をみていると、お上がどの業界を守るのかというのも明らかだなあと思いましたね。いくつかの銀行は破たんしましたが、基本的には「銀行は助けるべき」というスタンスですよね。しかし証券会社は半分くらい見
捨て、消費者金融だとほぼすべて潰れてもいいと思っているみたいです。決済機能の有無云々だけではなく、裏に日本的な価値観の問題もあるのではないでしょうか。
磯崎:そもそも日本で消費者金融が発生したのは、市場原理がうまく機能していなかったからです。米国では銀行がカードを発行して、そのカードでお金を借りることがきる。リボ払いが当た
り前なので、そこで一定の信用が担保されます。国民はいわば“借金漬け”にされていますが、あまり社会問題化しないようになっている。いいか悪いかは別にして、そういう構造になっている。
しかし日本でのクレジットは、もともと割賦からきている。これは通商産業省(現?経済産業省)の管轄なんですよ。一方の銀行は大蔵省の管轄(現?金融庁)。両者
の間で垣根争いがあったので、銀行はクレジットカードを積極的に扱うことができなかった。だから銀行の別会社でクレジットカードを発行していました。役所のせいだけではなく、そもそも銀行は戦後日本の復興のために企業金融が中心で、リテール分野にはなかなか目が向かなかったんですよ。
消費者金融の専業者は、各地域ごとに信用情報センターを
作って、そこで顧客の借入データを交換することに成功した。お金を貸す上で最も重要なことは、その人が他社でいくら借りているのか、というデータ。個人のバランスシートが見えないで、お金を貸すことほど恐いことはない。他社でどのくらいお金を借りているのかという情報は重要なわけですが、その情報は消費者金融の業界であれば見ることができる。
ちきりん:銀行はその情報を見ることができなかったわけですよね。
磯崎:そうです。「Aさんは○○社で○○万円借りている」という情報は、顧客情報そのものなんですよ。借りた人の氏名、生年月日などのデータが詰まっている。しかし優良な顧客データだと、他社に取られてしまうかもしれない。そうしたリスクを抱えつつ、各社は情報を出し
合っていた。
ちきりん:このシステムに銀行が入ってしまうと、銀行にいい顧客を奪われてしまうわけですね。
磯崎:銀行に「ウチの方が金利がはるかに安いですよ」と営業をかけられたらひとたまりもないと考えるのは当然だったでしょうね。その顧客情報は、もともと消費者金融業界の大切な資産なわけですから、それを守ろうとするのは、まあ
当然ではあります。一方、米国では信用情報サービスが業態を超えて顧客の信用情報を補足している。しかし日本では市場が分断されていた。
ちきりん:なるほど。それと、信用情報に関していえば、日本では“お金に関する自分の信用力”を自分で管理する、という考えが教えられていませんよね。
自営業の人で経費をつみあげて、税金を支払わな
くてすむようにしているような人が、家を買いたいと思ったときに、住宅ローンを申し込んでもお金を借りることができなくて驚くケースがあるんです。前年までのその人の収入があまりに低いから住宅ローン担当者は「これだとお金を貸すことができません」と言うわけです。それを聞いて、収入というのは税金のためだけの数字ではなく、“自分の経済的な信用力に rmt アラド戦記
かかわる”んだということをこのタイミングで初めて知るわけですよ。
なぜこうした人がいるかというと、日本がお金に関する教育を怠ってきたからだと思います。そのツケが、いま出てきているんですよ。お金を貸す産業を育成しながら、同時にお金に対する教育をするべきだった。そして弱者は守るという施策をとるべきだった。しかしこの国はどれも十
分にやってこなかったですよね。
●消費者金融を誤解している人が多い
磯崎:そもそもお金を借りるという行為を誤解している人が多い。お金を借りている人が「返済できなくなってしまったらかわいそう」「業者が悪い」といった話になりがちなのですが、よくよく考えてみると彼らの方が約束を破っているわけです。お金を借りるときに「必ず返
します」と約束したのに、その約束を破ってしまった。「返せます」といって借りたのに、返せない人の方が“かわいそう”と思われている。これは、よくよく考えてみると、ちょっとおかしいですよね。
ちきりん:確かにおかしいですよね。
磯崎:また「サラ金からお金を借りる人って、失業者や路上生活者みたいな人たちでしょ?」と思い込んでい
る人も多い。しかし失業してる人や、路上生活を送っているような人は定期的な収入がほとんどないので、そもそも借りることができないんです。
「サラ金=サラリーマン金融」というのは名前の通り、サラリーマンという安定した収入がある人にお金を貸す――というコンセプトで始まった。「団地金融」なんて言い方もありました。1960年代当時ハイカラ
だった「団地」に住んでいる人は、一般の人より平均年収も高くて収入も安定している人が多かったので、そういう人を顧客ターゲットにしたわけです。恐らく今でも、水商売をしている人やタクシーの運転手は、消費者金融でお金を借りることはかなり難しいと思います。だから消費者金融の顧客は、堅気な仕事をしているごく普通の人たちが大半です。1980年代に見
たデータだと、社会人の半分以上が消費者金融こうしたことを知っている人は少ないですよね。
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引用元:Perfect World rmt
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